スマートホームのI/Oモジュールとは何か、何に使うか。入力と出力の接続、台数の見積もり、実物件の例、比較表、FAQ。
# スマートホームのI/Oモジュールとは何か、何に使うか
夕方、帰宅して玄関ホールのボタンを押す。24 V DCの信号が壁内の配線を通り、分電盤のDINレール上のモジュール端子に入る。モジュールはバスで押下を伝え、ロジックが反応を決め、出力のリレーがランプを点ける。一連の処理は一瞬で、利用者には見えない。よく設計されたシステムはそう動く。
要点: I/Oモジュール(input/output、入出力モジュール)は分電盤に置く機器で、入力でボタンやセンサの信号を読み、出力で負荷を切り替える。自分では判断しない。入力状態をシステムのロジックに渡し、その指令を実行する。スマートホームでは、ボタンやランプの配線とオートメーションがここで交わる。
# I/Oモジュールとは何か
I/Oモジュールは物理世界を論理状態に直し、また戻す。入力は閉じたボタン接点を「押された」という情報にする。出力は「オン」という指令を、負荷へ電圧を送るリレー接点の閉成にする。
人体に例えると分かりやすい。入力は感覚で、ボタン押し、窓の開放、洗濯室の水漏れを検出する。出力は手で、機器を入り切りする。脳は Voldeno Studio で組むロジックだ。Voldeno ではそのロジックは外部サーバではなく、Hub とバス上のモジュールでローカルに実行される。
カタログでは 8DI/8DO と書くことが多い。DI は digital input(デジタル入力)、DO は digital output(デジタル出力)。Voldeno I/Oモジュールも同じ構成で、24 V DC デジタル入力8点とリレー出力8点。「デジタル」はここでは2状態、電圧があるかないかだけを指す。0-10 V センサのような連続値は、別モジュールの Analog Input が担当する。
I/O という略語は情報処理から来ており、プロセッサと外部機器のデータのやり取りを指す。建物のオートメーションも同じ原理なので、用語をそのまま使っている。
# デジタル入力: 何を接続するか
デジタル入力には、回路を開閉するものならつなげる。ボタン、センサの無電圧接点、計量器のパルス出力など。Voldeno I/Oモジュールでは、バンクの 24V 端子と入力(I1-I8)の間を接点で閉じる。プルアップ抵抗は不要。
| 機器 | 何を知らせるか | 住宅での例 |
|---|---|---|
| 壁ボタン(モメンタリ) | 押下とその長さ | 玄関ホールの照明、玄関の「外出」シーン |
| 人感センサ | ゾーン内の在(無電圧接点) | 夜間の階段灯 |
| 窓または扉のリードスイッチ | 開 / 閉 | 窓が開いたら暖房オフ |
| 漏水センサ | 床の水 | 機械室の元栓を閉じる |
| パルス出力付き水道・ガスメータ | 流量の増分 | アプリでの日次水道使用量 |
| S0 出力付き電力量計 | 電力量の増分 | ヒートポンプの消費 |
| 警報盤の信号 | 警備、警報、破壊 | 警備状態に応じたシーン |
リードスイッチの構造は単純で、強磁性のばね板2枚をガラス管に封入しただけだ。窓扇の磁石が板を引き寄せて接点を閉じる。窓を開けると磁石が離れ、板が開く。
パルス計量も同じ考え方だ。水道メータ内で磁石が回り、リードまたは誘導ピックアップが1回転ごとにパルスを出す。つまり決まった水量ごと(機種により 1 L または 10 L)。Voldeno I/Oモジュールの入力は 250 Hz までの周波数カウンタモードがあり、S0 出力の電力量計にも足りる。
# なぜ普通のスイッチではなくボタンか
普通のスイッチは2つの安定位置を持ち、状態を「覚える」。上が点灯、という意味だ。アプリやスケジュールでも操作する家では、レバー位置と実際の点灯状態がすぐずれる。モメンタリボタン(呼び鈴と同じ)は元の位置に戻り、イベントだけを送る。点灯状態はロジックが決める。
ボタンは1つの機能に限らない。Voldeno Studio のスイッチブロックはクリック、短押し、長押し、ホールドを区別し、しきい値はミリ秒で設定する。玄関の同じキーで、短押しはホール照明、長押しは家全体の消灯、といった割り当てができる。
# リレー出力: 何を切り替え、どこまでか
リレー出力は NO(normally open、常時開)接点で、ロジックの指令で閉じ、負荷へ電圧を送る。Voldeno I/Oモジュールは、互いに絶縁された4点ずつの2グループで、こうした出力を8点持つ。各点は 250 V AC で最大 5 A(抵抗負荷、カテゴリ AC1)。
典型的な用途は次のとおり。
- 照明回路: 玄関ホール天井、ブラケット、外構照明
- 門扉コントローラや電気錠へのパルス
- 電磁弁(散水や水道遮断など)
- 浴室ファンなど小型モータ
5 A の上限は1チャネルにも、4点グループ全体の合計にもかかる。弁コイルやファンなどの誘導負荷では 2 A(カテゴリ AC15)。グループは完全に絶縁されているので、一方を 230 V AC の照明回路、他方を門扉と弁用の 24 V DC で給電できる。
電気暖房、コンセント回路、ブラインド、大容量LEDドライバには I/Oモジュールは向かない。これらはチャネルあたりカテゴリ AC1 で最大 16 A の4出力を持つ RELAY モジュールの担当だ。もう一つの方法は、I/O 出力で外部DINレールリレーを駆動すること。出力がコイルを励磁し、リレーが高電流を切り替える。切替電流が必要で、回路ごとの電流計測が不要なときに使う(実物件の例は後述)。
I/Oモジュールの各 AC 出力は、商用電圧がゼロを横切るときに閉じる。突入電流と接点のアークを抑える。詳細は I/O・RELAYモジュールのゼロクロス切替 にある。50 Hz では電圧は1秒に100回ゼロを横切るので、同期による遅れはボタンでは感じない。
# グループ単位の電流計測で分かること
Voldeno I/Oモジュールには電流センサが2つあり、リレー4点グループごとに1つ。グループ内4出力の電流合計を測り、出力ごとの電流は測らない。値は Voldeno Studio と Voldeno Mobile で見られる。
全回路がオンのとき、グループが 5 A 上限にどれだけ近いかが分かる。グループで1回路だけオンなら、その回路の電流になる。チャネルをオンにしてもグループ電流が増えなければ、負荷は電力を取っていない。ランプ故障か回路断だ。ヒータの使用量を回路ごとに見るなど、出力ごとの計測が必要なら、チャネルごとに電流センサを持つ RELAY を選ぶ。
# I/Oモジュールとシステムの残りの関係
I/Oモジュールは同じ設備内の Hub が必要で、Voldeno Bus で通信する。壁内ボックスではなく、分電盤の 35 mm DINレール上、保護機器の隣に置く。
Voldeno Bus は4本。24 V DC 電源、GND、CAN-FD データ2本。各モジュールのコネクタでモジュールからモジュールへ直列につなぎ、バス専用の電源モジュールは置かない。CAN は1980年代に Bosch 社が車載コントローラ間通信向けに作った。ノイズと振動に耐える必要がある経路向けだ。CAN-FD はその後継で、転送速度が高い。
役割は分かれている。Hub は設備を Ethernet につなぎ、データを保持し、遠隔アクセスを扱う。Voldeno Studio では各入出力をロジックブロックに割り当てる。日常の操作と監視は Voldeno Mobile。
インターネット障害や不通のときはどうなるか。ロジックは設備内でローカルに動くので、ボタン、センサ、シーンはそのまま使える。失うのは宅外からの遠隔アクセスだけだ。Hub 自体の故障でも、モジュールと分散ロジックはバス上で動き続けるので、オートメーション全体が自動では止まらない(詳細はシステム概要)。
# 住宅の I/O と産業の I/O: 何が違うか
電気的な原理は同じで、現場と必要な知識が違う。産業オートメーションでは I/Oモジュールは通常 PLC の一部で、IEC 61131-3 の言語(ラダー LD や構造化テキスト ST など)でプログラムする。専門のプログラミング知識と、PLC メーカのツールが要る。
Voldeno I/Oモジュールは電気的には同じ仕事をするが、Voldeno Studio の用意されたロジックブロックで設定し、コードは書かない。より複雑な場合は Volang 言語が使える。
| PLC と I/Oモジュール | 有線スマートホーム(例: Voldeno) | 手配線のリレーとコントローラ | ボックス内の無線機器 | |
|---|---|---|---|---|
| 電圧 | 入力は多くが 24 V DC、出力はトランジスタまたはリレー | 入力 24 V DC、リレー出力 230 V AC または 24 V DC | ボタンとリレーコイルは多くが 230 V AC | ボックス内 230 V AC、無線制御 |
| プログラミング | PLC メーカ環境の IEC 61131-3。プログラミング技能が必要 | Studio のロジックブロック。コードは任意 | なし。機能は配線で決まる | メーカアプリ。クラウドアカウントが多い |
| 施工者 | オートメーション技術者またはインテグレータ | システムの講習を受けた電気工事士 | 電気工事士 | 電気工事士または居住者 |
| 信頼性 | 長年の連続運転向け | 有線とローカルロジック。Wi-Fi に依存しない | 単純で耐久性はあるが、回路状態の情報はない | 電波、電池、ルータに依存 |
| 増設コスト | モジュール追加とプログラミング作業 | バスにモジュールを足し、Studio で変更 | 機能変更のたびに新しい配線と機器 | 1点は安いが、ボックスごとに増える |
PLC は産業向けで、サイクル時間が確定的で、専門チームが設備を運用する場面に合う。住宅向けは起動が簡単で、構成に上限がないべきだ。典型的なシーンはコードなし、複雑なものは Volang で伸ばす。PLC プログラミングの高い敷居は住宅では利点ではなく障壁だ。照明シーンの変更に、ノート PC を持った専門家は要らない。
# 実物件の例: ランプが多いとき I/Oモジュールは何をするか
写真は当社物件の分電盤の一部だ。右に I/Oモジュールと RELAY モジュールが並び、左にオレンジ色のリレーがDINレールソケットに載っている。
玄関ホールのボタンに戻る。この物件では信号は I/O 入力に入る。モジュールは主に入力の受け皿だからだ。壁スイッチの線もその端子に集まり、ブラインド操作用も含む。
照明は大出力 LED が多く、電流が I/Oモジュールの 5 A 上限を超える。そのため外部リレー(写真のオレンジ)が切り替え、コイルは I/O 出力で駆動する。ブラインドは RELAY モジュールが駆動する。
| 設備の要素 | 接続先 | 役割 |
|---|---|---|
| 照明の壁スイッチ | I/Oモジュール入力 | ロジックへのイベント: 短押しと長押し |
| ブラインドの壁スイッチ | I/Oモジュール入力 | ロジックへの上昇・下降指令 |
| LED ランプ | I/O 出力で駆動する外部リレー | 大電流の切替 |
| ブラインドモータ | RELAY モジュール出力 | モータ給電 |
切替電流が必要で、負荷の電流計測が必須でないときは、RELAY を足す代わりになる。代償もある。盤内に機器が増え、I/O の電流センサはランプ電流ではなくリレーコイルの消費を測る。回路電流が必要なら RELAY の方がよい。
# 住宅に I/Oモジュールは何台必要か
低電力の入力と出力を別々に数え、それぞれを8で割り、大きい方を取る。I/O の上限を超える負荷(暖房、コンセント、ブラインド)は RELAY か、I/O 出力で駆動する外部リレーとして数える。将来の増設用に余裕を見る。スマートホーム設計の失敗 では 30-50% を勧めている。
先に足りなくなるのは入力が多い。ボタン、リード、センサが各1点を使い、全窓にセンサがある家ではリードだけで十数点になる。照明出力は1回路が複数灯を賄うので、通常は少ない。
規模の目安: モダンバーン では I/O 7台、RELAY 9台、Analog Input 1台、1-Wire 2台、Hub 1台。マンション、120 m² の家、200 m² 超の家の機器と費用の一覧は スマートホームの費用 にある。
# よくある質問
# PLC と I/Oモジュールの違いは
PLC はプログラムを実行するコントローラ。I/Oモジュールはその入出力で、センサと負荷への接続だ。Voldeno ではコントローラ役は Hub とモジュール上でローカルに動くロジック。I/Oモジュールは信号を渡し、指令を実行する。
# 8DI/8DO とは
デジタル入力8点とデジタル出力8点。Voldeno I/Oモジュールも同じで、24 V DC 入力8点と、4点ずつの2グループのリレー出力8点。
# ボタンの代わりに普通の壁スイッチを付けられるか
付けられる。入力は位置を読み、Studio では状態変化ごとに反応できる。ただし短押しと長押しの区別は失われ、アプリからも操作するとレバー位置と点灯が一致しなくなる。新設ではモメンタリボタンを勧める。
# 出力 5 A で LED 照明は足りるか
通常の回路なら足りる。230 V で 5 A は抵抗負荷で約 1150 W、部屋の LED 回路は数十 W が多い。5 A は4点グループの合計上限でもある。大出力 LED や突入の大きいドライバが多い場合は、RELAY か I/O 出力で駆動する外部リレーを使う。
# インターネットなしで I/Oモジュールは動くか
動く。ボタン、センサ、シーン、スケジュールは設備内でローカルに動く。インターネットがないと失うのは宅外からの遠隔アクセスだけだ。
# I/Oモジュールか RELAY か
I/O はボタン、センサ、5 A までの負荷(照明、門扉、弁)。RELAY はチャネルあたり最大 16 A の出力4点で電流計測付き、デジタル入力はない。暖房、コンセント、ブラインド、モータ向け。電流が必要で回路計測が不要なら、I/O 出力で外部リレーも駆動できる。多くの住宅では両方を使う。
# まとめ
I/Oモジュールは目立たないが、設備でいちばんよく使う部分だ。玄関ホールのボタン、窓の開閉、水道メータのパルスはすべてその端子を通り、出力は利用者もインターネットもなしに照明やリレーを動かす。チャネルに余裕を持ち、大負荷を RELAY か外部リレーに移せば、何年も手を入れなくてよい。
設備を計画していて、家に I/Oモジュールが何台要るか確認したい場合は、無料相談 を予約してほしい。物件に合わせてモジュールを選ぶ。Voldeno Studio を無料でダウンロード し、シミュレーションで入出力を組むこともできる。
