スマートホームのリレーの仕組み、電流計測でできること、外出モードでコンセントを切る方法。RELAYモジュールを使った例つき。
# スマートホームのリレーとは何か、電流計測で何ができるか
分電盤の中のスマートホーム用リレーは、2つの仕事をする。ロジックの指令で回路を入り切りすることと、電流センサがあれば、その回路がいま何をしているかを把握することだ。後者が思った以上に使える。IHクッキングヒーターが動いていると分かるモジュールは、レンジフードを起動できる。家の状態を知っているモジュールは、全員が外出したときにコンセントを切れる。
以下では、スマートリレーとは何か、どこに取り付けるか、電流計測をどう使うかを説明する。最後にVoldeno RELAYモジュールで具体例を示し、その限界にも触れる。
# スマートホーム用リレーとは何か
スマートホーム用リレーは、手動スイッチの代わりにオートメーションシステムが制御するリレーだ。家のロジックが接点を閉じたり開いたりし、その接点を通して照明、コンセント、ヒーター、ポンプなどの回路に電力が流れる。電流計測つきのタイプは、負荷が何アンペア流しているかも報告する。
通常の電磁リレーは、コイルと接点でできている。コイルに電流を流すと磁界が生じ、可動片を引き寄せて負荷回路を閉じる。スマートホームのリレーも原理は同じだが、指令はシステムのロジックから届く。ボタン、スケジュール、センサ、アプリのどれでもよい。接点の構造とアーク放電の問題は、ゼロクロス切替の記事で扱っている。
# プラグ型、壁内ボックス、分電盤のどれか
スマートリレーには3つの形がある。取り付け場所が違い、その違いが切り替えられる負荷と計測できる範囲を決める。
| スマートプラグ | 壁内ボックスのリレー | DINレールモジュール | |
|---|---|---|---|
| 場所 | コンセントと機器の間 | スイッチやコンセントの裏 | 分電盤の中 |
| 切り替える対象 | 機器1台 | 照明回路1つまたはコンセント1つ | 回路単位、通常は16 Aまで |
| 電流計測 | 一部の機種 | 一部の機種 | モジュールによる(RELAYは全チャンネル) |
| 通信 | 多くはWi-Fiか無線。クラウドアカウントが必要なことも多い | 多くは無線 | 有線(Voldenoでは Voldeno Bus を使う) |
| 取り付け | 利用者 | 電気工事士。狭いボックス内 | 電気工事士。分電盤内 |
| 増設 | 機器ごと | ボックスごと | チャンネルまたはモジュールを追加 |
プラグ型は、すでに完成している住宅で1台の機器だけを測りたいときに向く。新築や全面改修では、リレーを1か所にまとめるほうが扱いやすい。すべての回路が1つの分電盤で見え、電池や無線の到達範囲を気にする必要がなく、モジュールの交換で壁をはつる必要もない。
# リレーの電流計測で何が分かるか
リレー接点の電流センサは、電流値をアンペアで測る。電源電圧(約230 V)が分かっていれば、そこから電力を見積もれる。電流に電圧を掛けると皮相電力(VA)になる。ヒーター、アイロン、電気ケトルのような抵抗負荷では、結果は有効電力(W)に近い。モーターやスイッチング電源では有効電力より大きくなる。
目安の値を挙げる。
| 機器 | 一般的な電力 | 230 Vでの電流 |
|---|---|---|
| 電気ケトル | 2000 W | 約8.7 A |
| アイロン | 2400 W | 約10.4 A |
| 食洗機や洗濯機の加熱中 | 2000 W | 約8.7 A |
| 電気ヒーター | 3000 W | 約13 A |
| 三相クッキングヒーター 7.4 kW | 合計7400 W | 1相あたり約11 A |
最も大事な制約がある。モジュールが見えるのは、接点を通る電流だけだ。計測の単位は回路であり、部屋の1つのコンセントではない。1つの回路に10個のコンセントがぶら下がっていれば、読み値はそこに接続されたすべての合計になる。
# 電流計測は何に使えるか
# 機器ごとの電力使用量
大型の機器が専用回路を持つ場合(洗濯機、食洗機、給湯器、エアコン、ガレージのコンセントなど)、1チャンネルの電流から、いつ動き、どれだけ使っているかが分かる。数週間見れば、給湯器が毎晩加熱していることや、食洗機が料金の高い時間帯に動いていることが見えてくる。機器の運転を安い時間帯や太陽光発電の余剰時間に移す出発点になる。
RELAYモジュールの電流値は、Voldeno StudioとVoldeno Mobileで確認できる。これは分析と制御のための計測で、取引用の電力量計ではない。テナントへの請求や子メーターには、適切な精度等級の電力量計が必要だ。
# 自動で動くレンジフード
クッキングヒーターは、キッチンに湯気がこもる前に電流を使い始める。ロジックはこれに反応できる。ヒーター回路の電流がしきい値を超えたらフードを起動し、2つ目のしきい値を下回ったら、数分だけ運転を続けてから止める。
Voldeno Studioでは、3つのブロックで組める。ヒステリシスブロック(ONしきい値と、それより低いOFFしきい値)、OFFディレイブロック、フード用のリレー出力だ。ヒステリシスが重要なのは、弱火設定のヒーターが入り切りを繰り返し、なければフードが点いたり消えたりするからだ。
注意点が2つある。1つ目は、リレーで起動できるのは、通電すると自分で動き出すフードだけだということ。本体のボタンで操作するフードは、別の制御入力が要る。たとえばI/Oモジュールの無電圧接点を使う。2つ目は、電流がモジュールのチャンネルを通る必要があること。三相7.4 kWのヒーターは1相あたり約11 Aで、16 Aの上限に収まる。ただし相ごとに1チャンネルが必要で、そもそもモジュール経由にするかどうかは電気工事士と設計段階で決める。また、NO(常開)接点なので、モジュールに電源がないと回路は開いたままになる。
# 運転サイクルの終了
洗濯機、食洗機、乾燥機は、終わっても信号を出さない。それでも、電流が数分間しきい値を下回れば、サイクル終了のよい目印になる。ロジックは、ランドリールームのファンを回す、シーンを切り替える、回路を切って待機電力を止める、といった動作ができる。
# 故障の検出
リレーは、自分が指令した状態と、実際に流れている電流の両方を知っている。チャンネルがONなのに電流がゼロなら、負荷は動いていない。給湯器のヒーターの断線、循環ポンプの外れ、回路の不具合などだ。逆に、動くはずのない時間にポンプが何時間も回っていれば、設備の点検のきっかけになる。どちらもロジックで単純な条件として書ける。
# アイロンの消し忘れと外出モード
消し忘れ対策の最も簡単な方法は、電流のしきい値を必要としない。家が外出モードに入ったら、ロジックがコンセント回路のチャンネルを切る。アイロン台に置いたままのアイロンは、誰が覚えていたかに関係なく、電圧がかからない。
外出モードは、ロジック上のごく普通の状態だ。玄関のボタンの長押し、スケジュール、在室センサ、アプリのどれでも設定でき、動作モードを監視するブロックがその状態をRELAYモジュールの出力に渡す。帰宅したら、同じボタンかモードの切り替えで電源が戻る。
電流計測は、もう1層の安全を足す。「外出」シーンで、コンセント回路の電流がしきい値を超えていないかを確認し、ドアを閉める前にアプリに表示できる。それでも、誰もその表示を見なくても電源は切れる。
コンセント回路は、設計の段階で分けておくとよい。冷蔵庫、冷凍庫、ルーター、警報盤、地下のポンプは、外出モードでも通電を続ける回路に載せる。居室、キッチンのカウンター、ウォークインクローゼットのコンセントは、切ってよい回路にする。
# Voldeno RELAY: 何を測り、何を切り替えるか
Voldeno RELAYは、独立した4つのリレー出力を持つDINレールモジュールだ。各チャンネルは250 V ACで最大16 A(カテゴリAC1)を切り替え、専用の電流センサを持つので、4つの回路を別々に測れる。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| チャンネル数 | 4、NO接点 |
| 抵抗負荷(AC1) | チャンネルあたり16 A / 250 V AC |
| モーター負荷(AC3) | 750 W / 240 V ACまで |
| 誘導負荷(AC15) | 1.5 A / 240 V AC |
| 電流計測 | 各チャンネルに専用センサ |
| 保護 | モジュール温度センサ、電源の逆接続保護 |
| 電源とデータ | Voldeno Bus経由で24 V DCとCAN-FD |
| 取り付け | 35 mm DINレール、4モジュール幅 |
| 価格 | 599 PLN(税込) |
モジュールには、同じ設備にHubが必要だ。ロジックはローカルで動くので、フード、外出モードでのコンセント遮断、電流しきい値はインターネットに依存しない。AC負荷では電圧のゼロ点で切り替えるため、突入電流と接点の消耗を抑えられる。配線の詳細はRELAYモジュールの配線にある。
RELAYにできないことも挙げておく。分電盤の過電流保護の代わりにはならない。回路ごとに専用のブレーカが必要だ。電力量計ではなく、力率も出さない。1つの回路にあるコンセントを区別することもできない。デジタル入力もないので、ボタンやセンサはI/Oモジュールにつなぎ、RELAYはロジックが決めたことを実行する。
# 電流計測つきリレーのための回路計画
- 消費量を知りたい機器と、他の機器を動かすきっかけにしたい機器(ヒーター、給湯器、洗濯機、エアコン、電気暖房)を書き出す。それぞれ専用回路にする。
- 残りのコンセントを、常時通電の回路と、外出モードで切る回路に分ける。
- チャンネル数を数える。1回路が1チャンネル、RELAY 1台が4チャンネルだ。
- 電流と負荷カテゴリを確認する。ヒーターはAC1、モーターとポンプはAC3またはAC15が必要だ。
- 予備チャンネルを足す。スマートホーム設計の失敗のガイドでは、30〜50%を勧めている。
規模の目安として、Modern barnの設備では、RELAYモジュールが9台(36チャンネル)、I/Oモジュールが7台、Hubが1台動いている。アパートや各規模の住宅向けのモジュール構成は、スマートホームの費用のガイドにある。
# よくある質問
# スマートホーム用リレーは通常のリレーと何が違うか
通常のリレーは、スイッチやサーモスタットなど1つの信号源に反応し、設備のほかの部分については何も知らない。スマートホーム用リレーはシステムの一部で、ロジックから指令を受け、家のモード、スケジュール、ほかのセンサに応じて動く。電流計測つきなら、負荷の状態も返す。
# リレーの電流計測は電力量計の代わりになるか
ならない。モジュールの電流値で電力を見積もり、推移を見て、動作のきっかけにできるが、電力量計の精度等級はなく、力率も考慮しない。住戸間の料金精算には、S0パルス出力でI/Oモジュールにつなげる電力量計を使う。
# 消し忘れたアイロンをリレーは切ってくれるか
アイロンがつながっているコンセント回路を切る。たとえば家が外出モードに入ったとき、または大電流が設定時間を超えたときだ。アイロン自体は切られたことを知らないが、電圧がなく、熱くならない。働かないのは、この仕組みの対象から外した回路にコンセントがある場合だけだ。回路の分け方を早めに計画する理由はここにある。
# コンセントごとに別々に計測できるか
できない。モジュールが測るのは、チャンネルを通る回路の電流だ。1つのコンセントを測るには、スマートプラグを使うか、専用回路で分電盤まで引く。後者は主に大型機器に向く。
# インターネットなしで動くか
動く。ロジックはHubとモジュールでローカルに動くので、電流しきい値、フード、外出モードはネットワークがなくても働く。インターネットが要るのは、宅外からの遠隔アクセスだけだ。
# 分電盤のリレーはスマートプラグより良いか
新築ならたいてい良い。1台のモジュールで4回路をまかなえ、電池も無線の到達範囲も要らない。分電盤に触れない完成済みの住戸では、スマートプラグのほうが早く使い始められる。両方を組み合わせることもできる。
# まとめ
スマートホーム用リレーが最も役に立つのは、回路を切り替えるだけでなく、その負荷についても教えてくれるときだ。各チャンネルの電流計測により、ヒーターの運転に合わせたフードの起動、洗濯サイクルの終了やポンプ故障の検出ができる。外出モードは、アイロンを消したかどうかを誰かに確認することなく、コンセントの電源を落とす。
設備を計画していて、どの回路をRELAYモジュール経由にするとよいか確認したいなら、無料相談を予約してほしい。Voldeno Studioをダウンロードして、電流しきい値を使ったロジックをシミュレーションで試すこともできる。